お役立ちコラムCOLUMN
ホイールを選ぶときにPCDって必要なの?
クルマのホイールを交換するときには、交換するクルマに適応するホイールのサイズを知らなければなりません。
いくつかあるホイールのサイズを表す項目の中でPCDという名を目にします。
いったいPCDとは何を表す値なのでしょうか?
PCDとは何のこと?
PCDとはPitch Circle Diameterの頭文字で、ホイールを固定するボルト穴の直径を表します。
ホイールの中心からタイヤを固定するボルト穴までの距離の2倍(直径)を㎜(ミリメーター)で表します。
車種によってPCDは同じでもボルト穴の数が違うものがあり注意が必要です。
日本車のコンパクトカーでは4穴(4H)が多く、セダンやワゴンでは車種やグレードによって4穴(4H)または5穴(5H)が採用されています。
SUVなど大型のクルマでは6穴(6H)が採用されているものがあります。
ホイールサイズの表し方
ホイールサイズは数字と記号の組合せになっています。
標準的なサイズ表記は以下のようになります。
ホイールサイズの表記例
15×6J 4-114.3 44
これらの数字(記号)の意味について以下のように分けて説明します。
①15 ②6J ③4 ④114.3 ⑤44
①15 リム径
リム径はホイールの直径を表し、サイズはインチ(1インチは25.4㎜)で表します。この例では15インチを表しています。
②6J リム幅
ホイールとタイヤが勘合するリム部の幅をインチで表していて、そのあとのアルファベット「J」はリムの形状を表します。J以外にJJやBと表示されるものがあります。
③4 ボルト穴数
ホイールを固定するボルト穴の数を表し、普通車では4穴もしくは5穴が多く採用されています。
大型のSUVやトラックでは、車体の重量が重く、積み荷の重量に耐えることと、それに対応する大きな出力に対応するため6穴、8穴、10穴が採用されています。
④114.3 PCD
本件の主題であるPCDを表していて、単位はミリメートル(㎜)で表記されます。
⑤44 インセット
リム幅の中心から取付面までの距離を表し、単位はミリメートル(㎜)です。
リムの中心線から取付面が外側にあるときにインセットと呼び、数値はプラスとなります。リムの中心線より内側にあるときは「アウトセット」と呼び、数値はマイナスで表記されます。
また、リムの中心線と取付面が同じで差が無い場合には「ゼロセット」と呼びます。
これらはかつて「オフセット」と呼ばれていましたが、2008年より国際基準に合わせて現在の呼び名となっています。
車種やメーカーによるPCDの違い
日本車のPCDはメーカーに関わらず、ほとんどの場合100、114.3、139.7、の3種類が採用されています。
外国車はこれらとは別のサイズが採用されており、それぞれのサイズについて説明します。
国産車のPCD
日本メーカーのクルマはメーカーを問わず以下のような目安でPCDが採用されています。
・コンパクトカー:100㎜が多く採用される
例、トヨタ/ヤリス、プリウス、カローラ、日産/サクラ、マーチ、オーラ
・大型セダンやミニバン:114.3㎜が多い
例、トヨタ/86、プリウスα、カムリ、アルファード、日産/スカイライン、エルグランド
・SUV:大型のクルマには大きなホイールが採用されるため、PCDも大きな139.7㎜が多い
例、トヨタ/ランドクルーザー、ハイエース、日産/キャラバン
輸入車の場合
欧州や米国の自動車メーカーは独自のPCDを採用していることが多く、異なるメーカー間ではホイールの互換性が有りません。
・フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ/112㎜
・BMW/120㎜
・ポルシェ/130㎜
・GM/120.65㎜
・フォード、クライスラー/150㎜
ほとんどの日本車はボルト(オネジ)がホイールハブ(車軸)に固定されていて、ホイールはナットで固定します。
欧州車はホイールハブにボルト穴(メネジ)加工されていて、ボルト(オネジ)によってホイールを固定するタイプが主流です。
また、一部のスポーツタイプのクルマには、レースカーと同様のセンターロックと呼ばれるひとつのナットでタイヤを固定するシステムが採用されています。このシステム用のホイールにはPCDは表記されません。
ホイールを選ぶときには
タイヤとホイールはドレスアップや走行性能を上げるために変えてみたいパーツでしょう。
クルマには推奨されるタイヤサイズとホイールサイズがあり、適正なものを選定しないと安定性に欠け、走行中のタイヤがタイヤハウス内側や、ブレーキの構成部品かに当たってしまい、取り付けができないことや、走行中にタイヤの破損など危険な状態となることが考えられます。
適正なタイヤサイズと良く調べてホイールを選定します。
適正なタイヤとホイールサイズであってもPCDとボルト穴数が合わなければ自車のクルマに取り付けることはできません。
まとめ
ホイールにはその寸法を表す数字や記号があり、PCDは取り付け穴の寸法を表す数値です。PCDが合わっていないと取り付けることができず、タイヤとホイールを交換するときには、タイヤサイズだけではなくホイールのPCDにも注目しましょう。